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潮谷験「スイッチ/悪意の実験」
箱川小雪は、大学の先輩である香川霞の勧誘を受け、同学部の友人たちとともにある実験に参加することになる。 心理コンサルタント、安楽是清(あらきこれきよ)による「悪意の実験」。 店の雰囲気は一級なものの、味の平凡さ、立地の悪さのため採算は大赤字のパン屋「ホワイト・ドワーフ」への資金援助を打ち切るか否かを、6人のモニターに委ねるものだった。 スマホにインストールされたアプリから、一ヶ月以内にモニターの誰かがスイッチを押したら、幼い双子をふくむパン屋の5人家族は破産。 スイッチを押すかどうかで実験参加報酬は変わらない。 それでもスイッチを押す者はいるのか、いるとしたらそれは誰か。 メ
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ジル・チャーチル「風の向くまま」
1931年、世界恐慌真っ只中。 父の急死によって資産家階級から転落、安アパートで身を寄せあって暮らすロバートとリリーの兄妹に、大叔父ホレイショーの遺産相続の話が舞い込む。 条件は彼が遺した田舎の邸宅に「10年間」暮らすこと。 今の生活よりはるかにマシということで、「グレイス&フェイバー・コテージ」(王室終身賃与、の意)と名付けたその屋敷に引っ越したふたりだったが、大叔父の死には殺人の疑いがあり、遺産を受け継いだ彼らはその有力な容疑者と見なされていた。 なんとかその容疑を晴らそうとふたりは捜査を開始する。 原著が1999年と少し古く、現代の日本人作家のユーモア・ミステ
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似鳥鶏「まもなく電車が出現します」
市立高校シリーズ3作目。 連作形式だった前作よりも、個々に独立性の高い短編集で、閉ざされた教室内に一夜にして大がかりな鉄道ジオラマが出現する表題作など5編収録。 個人的にはなんといっても最後の「今日から彼氏」なんだけど、ネタバレなしでうまく説明できないのがもどかしい。 とにかく葉山くんがこれまでで一番青春してて、それはそれでほほえましいんだけど、シリーズのファンとしては当然ハラハラもさせられて。 どうなるかは、とにかく読んで。 (2020年5月17日読了) #似鳥鶏   #読書 #学園ミステリ #市立高校シリーズ
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アンソニー・ホロヴィッツ「ストームブレイカー/少年スパイ アレックス・シリーズ①」
親代わりだった叔父イアンの交通事故死に不審を抱いた14才のアレックス。 ひとり調査に乗り出してそれが事故ではなく殺人だったことを知る。 やがて叔父の上司だったというアラン・ブラントに呼び出された彼は、叔父が情報部の工作員であったこと、ある大富豪の身辺を調べていたことなどを告げられる。 脅迫同然の形で叔父の仕事を引き継ぐことを命じられたアレックスは、イギリス中の学校に新型パソコンを寄贈しようというコンピュータ企業の社長、ヘロッド・セイルの裏の思惑を暴くため、身元を偽って彼の屋敷に潜入する。 最近大人むけにも進出してそちらも好評な作者の、児童向けのロングラン・シリーズ。 日本で
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青崎有吾「ノッキンオン・ロックドドア2」
不可能犯罪担当の御殿場倒理(ごてんばとうり)と、不可解犯罪担当の片無氷雨(かたなしひさめ)。 得意分野も性格も違うふたりの探偵が主人公の短編シリーズ2作目。 コミカルなノリでサクサクと読みやすく、BL要素も少し。 駄菓子好きの女刑事、穿地決(うがちきめる)や、犯罪プランナー(ホームズものでいうモリアーティ教授)、糸切美影(いとぎりみかげ)との、5年越しの四角関係?にも決着?がついて、何だか完結っぽいかな。 個人的には、トンネルに入っていったきり消息を絶った少女の行方を追う「消える少女追う少女」と、穿地警部補が主人公の「穿地警部補、事件です」が良かった。 (2020年4月
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似鳥鶏「理由あって冬に出る」
とある市立高校の個性的な文化部がひしめく通称「芸術棟」に、夜な夜な現れるという幽霊の噂が流れていた。 部員たちが怯えて練習にならないという吹奏楽部の知人に頼まれ、美術部の葉山はその正体を見極めるために協力することになるが、そうして夜間に忍び込んだ芸術棟で幽霊らしき人影を目撃してしまう。 彼の体験に興味をもった文芸部の伊神(いがみ)が解明に乗り出すが。 鮎川哲也賞佳作入選の、この作者のデビュー作。 お得意の個性的な面々が織り成すユーモアミステリ、ただコミカルなだけで終わらない少しシビアな読後感、などなど、デビュー作にはその作者のすべてがあるの格言通り。 それだけに後の作品を既読済
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有栖川有栖「カナダ金貨の謎」
古くからの悪友、楓丹次を絞殺した太刀川公司。 彼の目論んだ計画は、楓の同棲相手である芳原彩音が想定外に早く旅先から帰宅、遺体を発見してしまったことで変更を余儀なくされる。 芳原がいとこの伝手をたどって救いを求めた犯罪社会学者、火村英生は、楓が幸運のおまもりとして常に身につけていた、カナダのメイプルリーフ金貨のペンダントが現場から持ち去られていることに着目する。(表題作) 再読。 火村英生の国名シリーズ第10作。 3短編2掌編収録。 犯人視点と、シリーズのワトスン役である作家アリスの視点が交互して、半倒叙的になる表題作は、変更せざるを得なかった犯人の計画とは何か、現場から消
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2件の「いいね」

似鳥鶏「夏休みの空欄探し」
クイズ研究同好会会長、高校2年生の成田雷伸(らいしん)は、夏休み、本を読みに入ったファストフード店で、何かの暗号に取り組む立原雨音(あまね)と七輝(ななき)の姉妹と知り合う。 半ば偶然に目に入ったその暗号を解読したことからふたりと意気投合、さらに続きのあるらしい暗号解読に協力することになる。 同姓の同級生、成田清春も巻き込んで、暗号に導かれる旅のなか、雷伸は次第に七輝に惹かれていくのだったが。 暗号がテーマの青春ミステリ。 個人的には、この手の解かれることが前提の暗号というか、クイズゲーム風なやつはあまり好みじゃない(他人に知られないために考え出された、本来の意味の暗号の方が好き
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我孫子武丸「凜の弦音」
弓道が題材の青春ミステリ。 というか、ミステリになるのは全7作中の半分くらいで、青春小説とミステリと半々、ラブコメ分も少し?という感じ。 僕なんかは弓道場の様子はなんとなくイメージできるというくらいで、専門用語とか辞書を引きながらの読了になったけど、面白かった。 (2020年3月22日読了) #我孫子武丸   #読書 #弓道 #青春ミステリ
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8件の「いいね」

米澤穂信「可燃物」
年の瀬に発生した連続放火。 狙われたのがすべてゴミ集積場に深夜のうちに出された家庭ごみであったことから、ゴミ出しマナー違反への義憤からの犯行という動機が浮かび上がる。(表題作) かなり硬派な警察小説で、主人公の葛警部からして個性的な名刑事とか、ハードボイルドなはみだし者とかでもなく、ちょっとスタンドプレーも目立つだけのプロフェッショナルという感じ。 奇抜なトリックや快刀乱麻の名推理が読みたい人にはちょっと物足りないかもしれないし、同じ作者の別作品と比べてもちょっと毛色が違うかも。 それでも、雪山で転落したふたりの一方が刺殺体で発見される、不自然に一致しすぎる目撃証言、あえて発
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5件の「いいね」

久賀理世「ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家小泉八雲/罪を喰らうもの」
若き日の小泉八雲、パトリック・ハーンが主人公のオカルトミステリ第2作。 短編2編、中編1編収録で、表題作でもある中編がやっぱり面白い。 1年前、生徒が不審な死を遂げて以来閉鎖されていた礼拝堂で、またも死体が発見される。 1年前に亡くなったアンソニーと親しかったという上級生のハロルドは、ふたつの死が関係しているのではないかと考えて、パトリックたちに調査を依頼してくる。 パトリックたちは、やはりアンソニーと親しかったというふたり、ユージンとウォルターを礼拝堂に招き、「罪喰い」の儀式を模して彼らの反応を見ようとする。 すっかり気心の知れる仲になったパトリックとオーランドのやりとり
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似鳥鶏「夏休みの空欄探し」
クイズ研究同好会会長、高校2年生の成田雷伸(らいしん)は、夏休み、本を読みに入ったファストフード店で、何かの暗号に取り組む立原雨音(あまね)と七輝(ななき)の姉妹と知り合う。 半ば偶然に目に入ったその暗号を解読したことからふたりと意気投合、さらに続きのあるらしい暗号解読に協力することになる。 同姓の同級生、成田清春も巻き込んで、暗号に導かれる旅のなか、雷伸は次第に七輝に惹かれていくのだったが。 暗号がテーマの青春ミステリ。 個人的には、この手の解かれることが前提の暗号というか、クイズゲーム風なやつはあまり好みじゃない(他人に知られないために考え出された、本来の意味の暗号の方が好き
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7件の「いいね」

逸木裕「銀色の国」
自□対策NPO法人レーテを主宰する田宮晃佑(こうすけ)は、1年前に亡くなった市川博之の姉、未央(みお)から相談を受ける。 人間関係や仕事の悩み、金銭問題があったとは思えず、博之の自□の理由が分からない。 その死の直前に彼のはまっていたらしいVR(ヴァーチャルリアリティ)ゲームに、何かがあるのではないかという。 半信半疑、友人のプログラマー城間宙(しろまちゅう)に協力を求め調査に乗り出す。 他方、浪人生の外丸くるみ(とまるくるみ、HNなっつ)は、父との関係や失恋、受験の失敗などの悩みを抱え、Twitterで病み投稿を繰り返す日々を送っていた。 ある時、フォロワーの穴子さーもんから
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北山猛邦 「『クロック城』殺人事件」
太陽の黒点がもたらす磁気嵐で様々な機械が役に立たなくなり、終末へと向かっている世界。 探偵南深騎(みき)は、怪現象の解明を依頼され、みっつの大時計を備えた『クロック城』に向かうが、そこで不可解な殺人事件が。 これ一作で終わりというのがもったいないほど、世界観もキャラも興味深い。 (シリーズは続くんだけど、世界や主人公は作ごとに変わる) すごい引き込まれた。 (2020年1月23日読了) #北山猛邦 #読書   #特殊設定系ミステリ
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恩田陸「消滅」
9月30日、台風が近付く国際空港。 日本に帰ってきた人々の中から、ある条件で選別された男女が入国許可を保留され、空港内の一室に隔離される。 入国管理局は、この日の14時から15時にやって来る日本国籍の何者かが、日本で何かを「消滅」させようとするテロ行為に関わっているという情報をつかんでいた。 なりゆきで一緒くたに容疑者にされた名前も知らない同士なもので、「鳥の巣頭」「サングラス男」「ガラガラ声の女」みたいに表記されて、登場人物の把握という意味でちょっと不親切か。 登場人物一覧くらいつけてよ、とは思った。 それでも、台風の接近とそれによる高潮の脅威、時間との競争になる緊迫感、
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芦辺拓「鶴屋南北の殺人」
弁護士、森江春策の事務所を訪れた依頼人は、国劇協会調査研究センターの学芸フェローだという秋水里矢(あきみずりや)。 彼女がイギリスの骨董店で発見したのは、「東海道四谷怪談」などで知られる歌舞伎作家、鶴屋南北(つるやなんぼく)の署名の入った歌舞伎台帳だった。 その存在さえ知られていなかった、南北幻の作品「銘高忠臣現妖鏡」(なもたかきちふしんうつしゑ)。 同作をめぐる権利問題の調停を依頼された森江は、異端の歌舞伎役者、小佐川歌名十郎(おさがわかなじゅうろう)に会うべく京都へ向かう。 しかし、まさにその「銘高~」の上演に向けて、装置のテストが行われた舞台で、歌名十郎が助手として重用して
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方丈貴恵「アミュレット・ホテル」
完全会員制、犯罪者専用のアミュレット・ホテル別館。 犯罪社会で特殊な地位を確立し、宿泊者は完全なプライバシー厳守、最高級のサーヴィスを受けられる同宿のルールはふたつ、「ホテルにけして損害を与えないこと」と「敷地内で傷害、殺人を犯さないこと」。 桐生はホテル内で不可侵のルールを破って発生する事件の解決、犯人への制裁を担当するホテル探偵だった。 犯罪者御用達ホテルという設定がまず奇抜で、もっとコミカルでピカレスクなノリを予想していたらそこはちょっと違って、全体にずっとシリアスな雰囲気。 それでも年間最優秀犯罪者を表彰する「クライム・オブ・ザ・イヤー」などの設定や、特殊な舞台装置、アイ
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方丈貴恵「アミュレット・ホテル」
完全会員制、犯罪者専用のアミュレット・ホテル別館。 犯罪社会で特殊な地位を確立し、宿泊者は完全なプライバシー厳守、最高級のサーヴィスを受けられる同宿のルールはふたつ、「ホテルにけして損害を与えないこと」と「敷地内で傷害、殺人を犯さないこと」。 桐生はホテル内で不可侵のルールを破って発生する事件の解決、犯人への制裁を担当するホテル探偵だった。 犯罪者御用達ホテルという設定がまず奇抜で、もっとコミカルでピカレスクなノリを予想していたらそこはちょっと違って、全体にずっとシリアスな雰囲気。 それでも年間最優秀犯罪者を表彰する「クライム・オブ・ザ・イヤー」などの設定や、特殊な舞台装置、アイ
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ディートリッヒ・ガルスカ 「沈黙する教室/1956年東ドイツ: 自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物
僕には珍しいノンフィクション。 1956年、東ドイツのとある町の12年生クラス(日本の高3)。 ハンガリーの反体制運動で、サッカーのスター選手が亡くなったとの知らせ(のちに誤報と分かる)に、授業中に黙祷をしようということになる。 彼らのこのささやかな行動は、しかし波紋を広げ、教育大臣や国家警察も乗り出して来る事態に。 クラス全員の退学、大学受験資格の剥奪を言い渡された彼らは、西側への逃亡を決意する。 半世紀以上前の、今はもうない東ドイツが舞台で、ピンと来ないところはあったものの、青春小説みたいな読みごたえ。 映画化されたというのも分かる。 公文書や新聞記事からの引用が続
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アンソニー・ホロヴィッツ「その裁きは死」
実直な人柄と、融通のきかなすぎる仕事ぶりで知られた弁護士、リチャード・プライスが殺害され、現場にはペンキで「182」の文字が。 被害者はある離婚案件にからんで、一方の当事者である作家のアキラ・アンノから公の場で激しく罵倒されていて、当然アンノが有力容疑者と目される。 作家ホロヴィッツ(原著者自身)と、元刑事の諮問探偵ダニエル・ホーソーンのコンビものシリーズ第2作。 ホームズばりの推理力の持ち主で、ホームズに輪をかけてクセの強いホーソーンのキャラクタは、あんまり好きになれる主人公じゃないんだけど、それでもなんとも言えず引き込まれる。 ワトスン役が作者自身ということで、彼のかかわるテ
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